高齢化社会への適応 ― 日本と中国の比較研究
人口高齢化は東アジアにおける最も重要な人口・社会課題の一つである。本研究は、急速な高齢化と持続的な低出生率に直面する日本と中国を比較し、日本の経験が中国の人口政策にどの程度適用可能かを検討した。世界銀行・OECD・国連・中国国家統計局・日本政府機関の統計や政策報告、学術文献を用いた比較分析の結果、出生率の低下、平均寿命の伸長、子育て費用の増大、仕事と家庭の両立困難、伝統的な性別役割、価値観の変化といった高齢化の駆動要因は両国で高い類似性を示す一方、人口規模、地域格差、経済構造、統治条件の違いから、日本の政策をそのまま移植することはできないことが明らかになった。日本は女性・高齢者の労働参加拡大、介護保険制度、地域包括ケア、生涯学習の推進により高齢化の圧力を一定程度緩和したが、低出生率の趨勢を根本的に反転させるには至っていない。本研究は、中国の人口政策が「高齢化の反転」から「高齢化への適応」へ段階的に転換すべきであると論じる。